子供の才能を伸ばす教育を
教師塾、教員研修、セミナー、講演などの活動と、 教育への想い、教育論を語ります。 「教師」「保護者」そして「子供に関わる多くの方」へのメッセージ @T's skill教育技術研究所
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連載 第1回 叱れない先生
私が進学塾講師を始めてからもう10数年経過しました。
今でこそ、どの科目、どの学年でも自信を持って授業に
臨めますが、講師になりたての頃は全く違いました。

さて、私の経験をお話しする前に・・・
進学塾でも学級崩壊はあるのですか?
授業不成立という状況は起こるのですか?

学校教育コンサルタントをしている中で、この様な質問
を受けることもたまにあります。
私はこの様な問いに
はい、塾であっても私立であっても
授業不成立という状況や学級崩壊は存在します。
と答えています。
現実に、塾でも私立でも学級崩壊をしている例を聞くこ
とがありますし、1年目の私もその様な授業になりかけ
ていた一人でした。

要するに、担当する講師、教員に生徒を扱うスキルが無
いのであれば、塾であれ学校であれ、関係なく学級崩壊
を起こす可能性はあるのです。


私が講師になったばかりの講師1年生の時でした。
担当したクラスは中学3年と小学5年の理科。
中学3年生とは年齢も近いこともあって、何となく授業
がし易い気がしていました。

今思えば、中学3年のクラスは受験が近づいてたことも
あって、真剣に勉強し始めていた時期だったので当然だ
ったと思いますが・・・
当時は中学生しかやりたくない、という思いが大変に強
かったことを覚えています。


小学5年生の理科の授業で・・・

教室に入り、教卓の前に立つ。
授業を始めるために号令をかける。

「はい、授業を始めよう。」
「全員、起立!」

生徒達がばらばらと立ち上がる。

「はい、気をつけ」

気を付けをしてるかしていないか分からない状況だが
どう叱っていいか分からないし、こんなことで叱って
もしょうがない。とりあえず、礼をしてしまおう。

「礼!」
生徒:「よろしくお願いします」

何となくバラバラな礼が聞こえる。
まあいいか、出席をとらないと・・・

「着席して下さい」
「出席をとります」

と、出席をとるために、一人一人名前を呼んでいくと
一人の名前で複数の生徒が返事をしてくる。

いかん、同じ苗字の生徒がいるのか。
そう思って出席簿をチェックする。
しかし、同じ苗字の生徒はいない。

もう一度、その名前を今度はフルネームで呼ぶ。
そうしたら、2、3人の生徒が返事をする。

教室内にかすかに聞こえるクスクスという笑い声。
生徒がふざけているのだ。
顔と名前がまだ一致しない、新人の私をからかってい
るのだろう。
しかも、名前を読むことにいっぱいいっぱいで、返事
をした生徒の顔まで確認しながら、なんてできていな
い。

要するに出席簿とにらめっこをしながら名前を読み上
げていたのです。

この状況は決して良い状況とは言えない。
何とか改善をしたいのだけれど、どう叱って良いか分
からないし下らない悪ふざけに付き合っているヒマも
無い。
無視をして出席をとってしまおう。
とりあえず、返事があれば大丈夫だろう、と思った私
は生徒の悪ふざけを無視して出席をとり続けた。

生徒の数は15名
呼んだ名前の数は15人、返事の数は50人あまり。
何とも異様な状況で授業は始まった。

次の授業も、そのまた次の授業も・・・
まともに出席をとり終えたことがありませんでした。

正直、当時の私は叱るのが恐かったのだと思います。
叱ったら生徒に嫌われるのではないか

そんな風に考えていたから
かえって生徒を叱ることができずに、
悪ふざけに付き合っているヒマは無い、という
叱らない理由探しをしていたんだろうと思うのです。

結局、叱ることができない私の授業は
そのうち生徒達が好き勝手に私語をするようになり、
大変に騒がしい状況になっていました。
一見すると、楽しそうに授業を受けている、と
見ることもできますが、その内容は勉強ではありません。

授業自体は不成立していました。

まるで、雑談のお時間。
生徒が好き勝手に自分の言いたい事を言っている。

けれど、それを叱ることもできず。
中途半端に叱っても生徒に無視をされるだけでした。
思えば、出席をとる所から始まっていたのです。

私は叱れない先生だと生徒に確認されていたのでしょう。

それでも、生徒は楽しく授業に来ていたので
私はそこそこ生徒に好かれていると思っていました。

そして、生徒は私に色々な話をしに来ていたし、私も話を
聞いてあげてもいたので、ちょっとは人気もあるのかな、
と思っていました。

そうしている内に、アンケート調査を行なう時期がやって
きたのです。
生徒に授業の評価や担当講師の評価をアンケート調査する
のです。

授業の内容は散々でも、密かに生徒からの人気はあるつも
りでしたから、ちょっと自信を持って結果を待ちました。

そしてアンケートの結果・・・

それは散々なものでした。
私の評価はほとんど最低でした。

そして、生徒が口々に怖いと言っている先生の評価が高く
授業の内容がしっかりしている先生ほどやはり高評価を得
ていました。

そう、生徒は良く見ているのです。
自分達を本当に伸ばしてくれる先生は誰なのか、を・・・

当時の私の様に叱る事ができない先生は
その場は楽しく好き勝手にできるかも知れないけれど
結局、生徒にとって、どうでも良い先生なのです。

きちんと叱ることができない先生は
結局、生徒から本当の信頼を勝ち得ることもできない
ということが良く解かりました。

悪ふざけをしながら、きっと生徒達も本当にこのまま
で良いのか、疑問を持っているのでしょう。
それを適切に叱ってくれる大人を待っているのかも知
れません。

勉強にちょっと向かいたくないな、と思っている子供
は特に、踏ん切りのつかない自分を軌道修正してくれ
るきっかけを待っていたりするのかも知れません。

というのも、ある時、生徒に言われたのです。

「先生、どうして叱ってくれないんですか?」と・・・

その一言で目が覚めました。
もう一度、言います。

きちんと叱ることができない先生は
結局、生徒から本当の信頼を勝ち得ることもできない

生徒の信頼を得て
生徒に指導力を発揮するには
適切な時、適切なタイミングで
しっかりと生徒に叱ることができなければいけません。

生徒を叱ることを恐れていては
かえって生徒からの信頼を失うのです。

生徒と楽しく授業をするためにも
私は叱ります。

ルールを決めて、それを破られた時だけですが
その瞬間は、怒る私を演出し、演じ切ります。

叱り始めてからは急に生徒からの信頼も得られる様に
なりました。
授業の雰囲気も変わりました。

一歩踏み出す勇気がこれほど大切だったとは思いませ
んでした。
この一歩を踏み出せていなかったら、きっと私は講師
を辞めていたことでしょう。

「先生、どうして叱ってくれないんですか?」
と言ってくれた生徒に感謝!

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授業技術専門講座 受講生募集中
この記事に対するコメント
同感です。
「私の師である生徒達」の題名に惹かれ、読み始めました。

私は、「教育こそが世の中を変える術である」と信じ、昨年12年間勤めた大手総合商社を脱サラして中学校の英語の非常勤講師になりました。

生徒も含め、出会う人たち全てが師である、と思っています。

教育に就いて、英語学習方法に就いてなどなど色々書いておりますので、是非私のブログにもお立ち寄りください。
【2005/07/20 16:06】 URL | karateka-santa #- [ 編集]


karateka-santaさん、コメントありがとうございます!
そうですよね。生徒だけでなく、全ての出会いが今の自分を作る上で大切なものになっていると感じています。

その意味で、無駄な出会いなんて無いんですよね。
是非、ブログにお邪魔させて頂きます!
【2005/07/21 07:38】 URL | moro #- [ 編集]


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プロフィール

moro(諸葛正弥)

  • Author:moro(諸葛正弥)
  • 自己紹介
    ・教育技術コンサルタント
     T's skill教育技術研究所代表
    ・NPO法人交流分析協会会員
     交流分析士
    ・日本教育工学会 会員
    ・建築家

    ■明治図書より
    進学塾講師が書いた日本初の教育図書
    「人気塾講師直伝!イラスト図解でわかるプロ教師力アップ術55」を出版
    現在、第7版
    ■毎日コミュニケーションズより
    「フィンランドメソッド実践ドリル」を出版
    現在、第5版
    ■メールマガジンも発行しています
     「せんせいのスキル」
    e-mail:
    長年の大手進学塾講師経験や研修担当経験を経て「T's skill教師塾」を設立し、塾講師出身の教員研修講師として活動。
    私立中高一貫校、教育委員会、専門学校など研修や講演、顧問などを通じ、学校教育改革を提案中。

    これまでの数々の講演・研修ではこれまでの研修と違う、こういう研修を早く受けたかった、と高い評価を頂いております。

    T's skill「教師塾」を開催
    授業技術の研修・講義など各地で実施
    各種教育セミナーも開催予定
    全国から数多くのお問い合わせを頂いております

    2008年メディア関連の履歴
    ■NHK「おはようニッポン」
    ■TBS「ピンポン」
    ■ラジオ「J−WAVE」
    ■雑誌「R25」
    ■新聞「日刊ゲンダイ」
    ■雑誌「東洋経済」(書評)
    ■出版「フィンランドメソッド実践ドリル」
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