子供の才能を伸ばす教育を
教師塾、教員研修、セミナー、講演などの活動と、 教育への想い、教育論を語ります。 「教師」「保護者」そして「子供に関わる多くの方」へのメッセージ @T's skill教育技術研究所
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心の壁
今から7年前くらいになるでしょうか。
当時担当していた生徒のことを思い出しました。

そのSさんは成績的にはとても悪く
サボっている訳では無いんですけれど
なかなか向上する兆しが見えずに苦労をしていました。

何が原因なんだろう・・・

普段の会話をしているときには
普通に会話が成立し、その返答もしっかりしている。
ですから標準的な思考力はありそうだ、と思っていました。

しかし、授業中では
発問に対する回答を極端に恐れている感じがあったので
もしや・・・
と思ってSさんと話すことにしました。

直接は聞けないので
普段の雑談をすることから始め
「うんうん、なるほど」
「でも、そういうこと言ったらお母さんはなんて言うかな」

という具合に誘導し
お母さんが普段、どの様な声掛けをしているのかを探ることに
したのです。

少しずつ会話を重ねていく内に
数週間後には様々な、衝撃的な声掛けが分かってきました。

「あんたの顔を見ているとイライラするのよ」

頻繁にその様に言われるのだそうです。
100%鵜呑みにはできませんので、
始めは話半分で聞いているだけだったのですが、
その他の話題と総合して考えても
どうやら間違い無さそうな感じ・・・

しかし、にわかには信じられませんでした。
普段から面談をしたり、電話で話をしているときには
とても感じの良いお母さんだったからです。


真相を知る手段や、お母さんを導く手段を当時の私は知りませんでしたので
Sさんの話を聞いてあげることしかできませんでした。

その中でお母さんの発言はますます真実味を帯びてきました。

Sさんは毎日の様に
人格そのものを否定される様な声をかけられている様でした。


授業中も含め
自分の考え、というものに極端に自身が無い
授業をして、ちゃんと解けても分かったと言えない。
その場でしっかりとできているにも関わらず・・・

「どうせ後になったらできないから」

そう話していました。
復習の仕方をレクチャーしてあげましたが
それでも自分ができる訳が無い
そんな姿勢は崩れませんでした。

Sさんは自分自身の心の中にとても大きな壁を作ってしまっている
と感じました。

自分自身を何の能力も無い存在、と思い込んでしまっているのです。

ですから、将来の夢や目標についても
何も語ることができない。

何事においても、自分には無理。

その考えが真っ先に出ていました。
その状況では子供は前に進むことなどできませんよね。

勉強をしても、
「どうせできない」と思い込んで思考を止めてしまっているので
本当に身に付かない。

身に付かないから
お母さんにまた何か言われる。
そして、できないことを確信に変えていく・・・

その悪循環をずっと続けてきたのでしょう。



原因はもうお分かりだと思いますが
お母さんの声掛けでしょう。
Sさん自身を否定するような数々の声掛け。
仮にそれがSさんの大げさな表現だとしても
子供のココロの足かせになるような、心の壁を大きくするような
声掛けをしていることは間違いないでしょう。

それは頑なに自分の力を否定するSさんを見て良く分かります。

お母さん
「どうせ続かないんだから」
「どうせ無理なんだから」
「期待してないから」
「いつまで続くのかしらね」
「やっぱりダメなのね」
「あなたはそんなものよ」
「あなたがそんなにできる訳ないじゃない」

などの声掛けをしていませんか?
冗談でも
それが回数を重ねれば子供の心に壁を作るには充分です。

つい、言ってしまう一言ではありませんか?

そんな時こそ、「ちょっと待ってお母さん」
子供の力を否定する声掛けは避けていきましょう!

できない、という思い込みほど重たい足枷は無いですから。

参考になりましたでしょうか。
もしよろしければこちらをクリックして下さい。
この記事に対するコメント

こんにちは。恐ろしいことですね。でも先生に気付いてもらって
聞いてもらってよかったですね。勉強だけではなく子供のいろんな環境・背景が影響しているんですね。心の力がからっぽになると
色んな方法で満タンになるまで充電できるところが必要ですね。
中学生だと甘える方法などストレートに出来ない子も時もあると
思うので、難しいかもしれませんね。言葉掛け一つで←あっちにも→こっちにも行く恐さを改めて感じました。
【2005/07/07 16:08】 URL | 双子の母ハニー #71eICjPE [ 編集]


世間には良くいますよね、そういう人が。
私は普段から、プラスの言葉しか使いません。
子供に対してはもちろん、自分の会話でもそうです。
「転ばないでね!」→「気をつけてね!」
「失敗しないように!」→「大丈夫だよ!」
マイナスの言葉の否定でプラスの意味に使うことは、避けるべきだと思ってます。
【2005/07/07 21:44】 URL | 高橋さん #- [ 編集]


双子の母ハニーさんいつもありがとうございます。
おっしゃる通り、言葉掛けの習慣一つで大きく変わっていくものですし、お母さんにしかできない役割でもあるのかな、とも思います。
中学生の場合、素直に表現はできなかったりするものですが、ほめられたり、信頼している、という姿勢はとても嬉しかったりするものです。(悪態をついたりしますが、密かに喜んだりするものです)
叱らないといけない一方で、自己を認めてあげられる関係であると上手くいくと思います。
【2005/07/07 23:26】 URL | moro #- [ 編集]


高橋さんいつもありがとうございます。
そうですよね。
ついつい、言ってしまうことが多いようです。
マイナスな声掛けは感情に任せて言うのが楽なので、先に出てしまう様です。
でも、ほとんどの方が、プラスな声掛けを意識できていないのでマイナスの言葉の否定、の弊害に気が付かないのが現実です。
高橋さんの様な意識を持った方が増えて欲しいこの頃です・・・
【2005/07/07 23:31】 URL | moro #- [ 編集]


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プロフィール

moro(諸葛正弥)

  • Author:moro(諸葛正弥)
  • 自己紹介
    ・教育技術コンサルタント
     T's skill教育技術研究所代表
    ・NPO法人交流分析協会会員
     交流分析士
    ・日本教育工学会 会員
    ・建築家

    ■明治図書より
    進学塾講師が書いた日本初の教育図書
    「人気塾講師直伝!イラスト図解でわかるプロ教師力アップ術55」を出版
    現在、第7版
    ■毎日コミュニケーションズより
    「フィンランドメソッド実践ドリル」を出版
    現在、第5版
    ■メールマガジンも発行しています
     「せんせいのスキル」
    e-mail:
    長年の大手進学塾講師経験や研修担当経験を経て「T's skill教師塾」を設立し、塾講師出身の教員研修講師として活動。
    私立中高一貫校、教育委員会、専門学校など研修や講演、顧問などを通じ、学校教育改革を提案中。

    これまでの数々の講演・研修ではこれまでの研修と違う、こういう研修を早く受けたかった、と高い評価を頂いております。

    T's skill「教師塾」を開催
    授業技術の研修・講義など各地で実施
    各種教育セミナーも開催予定
    全国から数多くのお問い合わせを頂いております

    2008年メディア関連の履歴
    ■NHK「おはようニッポン」
    ■TBS「ピンポン」
    ■ラジオ「J−WAVE」
    ■雑誌「R25」
    ■新聞「日刊ゲンダイ」
    ■雑誌「東洋経済」(書評)
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