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| その9 学校と塾の関わりを考える |
過去、いや、現在も 学習塾は公教育にとって邪魔な存在であり、 認められない存在かも知れません。
過去には「害虫」とまで称された塾ですが、 現在では学校の教育にも確実な影響を及ぼす 無視のできない存在になったことも事実です。
それは「合格」というニーズに応える という事へ特化し、点数を取らせて目に見える学力 (いや、あえて得点する力というべきか)を向上させる。 そして、合格をさせる・・・
その部分に関しては 実に分かりやすい成果を挙げることができたから 結果として保護者のニーズを勝ち得ることができたと言っても 過言ではない。
受験戦争を加熱させ、 偏差値教育を助長し、 教育をエサに金を稼ぐ、 そんな部分が受け入れられないという原因、と 言われるのかも知れません。
その辺りの議論は別の機会にするとして 今回は別の部分にスポットを当てます。
そんな風にして、 忌み嫌われ、未だに学習塾は書道教室やピアノ教室と同じ 枠組みとされ、文部科学省の管轄とはされない、すなわち、 教育の1つとして認められていない存在であるにも関わらず、 公立の学校でも塾が入り込む様になってきています。
その成否をどう評価するかは現在の段階ではできませんが、 少なくとも、教育委員会の担当者やお話を聞かせて下さった 校長先生方の思いには共通するものがあるようです。
それは、目に見える学力をつけさせること。
要するに点数を取らせて欲しい、というニーズがあることには 違いないのです。 もちろん、それだけでなく「学習する空間を作る」という技術に 魅力を感じて下さっているという点も忘れてはいませんが、 その結果として生み出される「成果」を求めていることが 強く伝わってきます。
そこで、少しばかり危惧を感じました。 確かに塾は公教育に入り込んでいくことで、見える成果を 出すことが可能かも知れません。 ですが、学校が目指すものは、それで良いのか。
もし仮に、点数を取らせるためだけに 塾のノウハウを入れよう、というのであれば、 それはとても危険なことの様に感じます。
私は塾で教えていますが、丸暗記や意味の無い反復は嫌いです。 その理由や原理、背景や関連性を教えてこそ、の学習だという 信念を持って授業をします。 その先に使える学力が存在するのだろう、と・・・
ですが、学習塾という現場にいるので 良く見えますが、やはり「点を取らせるためだけの学力」を 徹底している環境もまた、色濃く残っているのも塾です。 簡単に言えば、学力向上のプロセスに関して言うならば 未だに教育として混沌としている、と言えるのもまた塾なのだと思うのです。
確かに点数を取らせるだけでない授業をされている講師も非常に多いです。 一方で、点数を取らせることしか見ていない講師が多いのも確かです。 様々な教育に対する想いが交錯している場所なのです。
ですが、表に出るものは常に「合格」という結果です。 当然です。 そこに保護者のニーズがあるのですから。 だから、教育の理想、というものより、「見える結果」を優先します。 どんなに経過や思考に時間を費やしたところで、 「成果」が出せなければ評価をされない世界なのです。 その意味で、本当の教育、子供たちに教えるべき学習を 的確に行なえるのか、と言えば甚だ疑問なのです。
だからこそ 学校が塾を取り入れるのであれば 「点数を取らせる学力」のノウハウをだけを取り入れるのではない 方向性を考えていくべきなのではないか、と思うのです。 安直に塾に授業をさせれば生徒の点数が・・・などという方針には 賛同できません。
塾は成果を挙げなければ評価をされません。 だから、生徒を学習に向かわせるための技術と教室管理に関するノウハウ、 そしてモチベーション向上のスキルを駆使して 如何に効率よく、準備した授業内容を的確に伝えるのか、 という部分に関する技術を磨きます。
私もコミュニケーション、カウンセリング、コーチング、 そして心理学、交流分析、異業種の研修、育成手法など、 様々な勉強をして授業に活用する術を盗んできました。 その上で理論化し、研修などで伝えるのに至っています。
塾も過去と異なり、学力差は大きくなっています。 できる子、やる気のある子だけを相手にする時代ではありません。 やる気なんてなくても、「やる気を出させて」勉強をする子に しなければならない使命を与えられているのです。 だから、必死に考え、積み重ねた技術がモノを言うのです。
そうやって身に付けた技術の一つ一つが 確実に成果を挙げるための「授業の空間」を 作り上げる上で重要なノウハウとなっています。
科目の指導法、授業のネタなどの研修より その土台になる教師力の向上に関する研修を優先するのには そこに理由があるのです。
「生徒が授業を受ける空間」 「生徒をやる気にするコミュニケーション」 「授業の内容を的確に伝える演出」 を実行するノウハウにおいて、
学力がどうだ、ゆとりがどうだなどの議論は関係がないはずです。 その部分において、塾が持つノウハウはきっと役に立つことができるでしょう。 変に目先の学力に拘ってしまうより、 長期的な育成計画と共に、考えて欲しいことでもあります。
逆に、それらが欠けているのなら どれだけ指導要領をいじったところで、成果など期待できない のではないか、とも感じてしまうのです。
中にはそんな手法は塾だからできるんだよ、と 一蹴されてしまうこともあるかも知れません。 ですが、保護者と子供たちのニーズに応え続けて結果を出してきた という現実に裏付けられたノウハウであることも事実です。
その様な中で、学校教育に塾が関わってできることは 塾の授業、ではなく、指導のノウハウを提供することなのではないか、 と思うのです。 それは「点の取らせ方」ではなく、関わり方・・・ コミュニケーションや表現の手法、叱り方、ほめ方の習慣です。
公教育の現場で授業を拝見することもありますが、 そこでも常に感じます。 「もったいないな」と・・・ それは授業の工夫にではなく、先生の立ち振舞いや発声、声掛け、会話 そして、生徒へのリアクションに対してです。
ある教育長が塾の授業を 「これが学習する空間なんだ」と評価して下さいました。 まさに、その部分でなら公教育にも適切に役立てる部分があるはずだと確信しています。
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