子供の才能を伸ばす教育を
教師塾、教員研修、セミナー、講演などの活動と、 教育への想い、教育論を語ります。 「教師」「保護者」そして「子供に関わる多くの方」へのメッセージ @T's skill教育技術研究所
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受験の思い出(続き)
前回の続きです

受験を終えて無事に
有名私立中学に進学した私は
合格した喜びなどより、これで勉強から解放される
という気持ちで一杯でした。

中学に入れば新しい科目や勉強が待っている
勉強をしないで済むはずなど無い

そんなことも分かってはいたのですが
受験勉強をしているとき
それは信じたくない現実でした。

そのときは
ただひたすらに受験が終われば
勉強から解放されると信じて・・・

母親もそのことに気がついていたのか
受験が終わったら、という事について
多くを語る事はありませんでした。

ただ何となく
今、勉強させれば良い、
という事だったのかも知れません。

でも、
クラブをやめ、友達と遊ぶことをやめ、
テレビも見れず、マンガを読めば怒られ
家でくつろいでいれば怒られ

様々な我慢を強制されたような感覚に
なっていた私にとって
受験が終わったら解放される、と
思わないと続かなかったことでしょう。


でも、現実は異なりました。
中学に入っても
宿題はもちろん出ます。
新しい学習が始まるので、
当然、勉強しないとついていけません。

毎日勉強しないといけない現実が待っていました。

すると、
勉強をさせたいという一心だったのでしょう。
受験勉強当時と変わらない家庭環境が蘇りました。

くつろいでいれば「勉強しなさい」
息抜きをしていることは許されない雰囲気が
できあがっていきました。

私が息抜きをしていることが気に食わないんだ
と考えた時期もありました。

そして、受験勉強当時と同じように
見て良いテレビは限定され
歌番組、ドラマ、バラエティは論外

当然、同級生との会話のきっかけなど難しく
同級生がテレビの話題になった瞬間、
私は輪から離れていきました。

そうです。
気がついたら、私は勉強のこと以外、
何も分からない子供になっていました。

スポーツもサッカーをしていましたが
中学受験のためにやめてから何もすることがなく
キャッチボールもまともにできませんでした。

ゲーム、マンガ、芸能人、音楽など
全ての流行に関して全く知ることがありませんでした。

勉強以外の事柄に興味を持つ事はいけないこと

そういう育ち方をしてきた様にも思います。
ですから、
興味を持つ事は悪いこと
そんな感情が芽生えていました。

後に、私が成人した後、母と話をしたとき
なぜ、音楽とかテレビを見せなかったのか聞いたところ

あなたが興味を持たなかったから

と答えていました。
お互いに認識の差が大きかったのかも知れないですが、
興味を持ってはいけない、と思っていたものに
興味を示すはずが無い・・・
そう心で思いながらも私は言えませんでした。

でも、一つ反論しました。
テレビも音楽も禁止されてるから
友達と会話が全然合わないし、会話に入れないんだよ
と、愚痴ったとき
取り合ってもらえなかったと・・・

しかも、そのとき
それならクラシックなら聞いても良いわよ
と言われて
以後、食事の時間にクラシックが
流された事が続いたのです。

それで、友達との会話が合うはずも無いのに・・・
さすがにあの時は困った。
とも言いました。


後になって見れば
お互いに、随分と歪んだ時期を過ごしたな、と
思えるのですが、
当時は母も私も視界が狭くなっていて
物事を様々な角度から見ることができなくなって
いたのだと思います。

でも、
そのときの教育が
私から興味を奪いました。

知識を学びたい、
そんな気持ちは微塵もありませんでした。

勉強は苦痛なもの
全てが犠牲になるもの
強制されるもの
自分の自我を否定されるもの

そんな感情が強くなっていました。

そうして、中学に入っても
受験勉強当時と同じ環境・・・
正直、裏切られたような気持ちでした。

同時に、受け入れられませんでした。

そして徹底的に勉強から逃げてしまいました。

先生から聞いたのですが
入試の時の成績は非常に優秀だったそうです。
けれど、最初の定期試験でいきなり落ちこぼれました。

見事に最下位付近にいました。

でも、何とかしたいと思うものの

何もやる気が起きないのです。

学びたい、勉強したい、と全く思えないのです。
当然、成績を見た母は
「塾にいきなさい」と言うのですが
それが最後の引き金になりました。

なんで、苦労して受験をしたのに
また塾に行かないといけないんだ、と
そして、
私は反発するように学校にすら行かなく
なりました。

一応、家は出るのですが
電車に乗って、その電車を降りることなく
何往復も繰り返し、時間をつぶす日々。

家に帰れば
怒鳴られ、叱られる日々

自分の気持ちはどこへ向けたら良いのかも
分からずに、
自分を理解してくれる人など
どこにもいない、と思っていました。

家族は皆、勉強から逃げられると思うな、
甘い、自覚を持て、何をしているんだ、の一点張り

ああ、理解なんてしてもらえる訳が無いな、と
思うようになり、ますます会話をすることを
避けるようになりました。

中学2年までは
毎日、怒られるために生活をする様な日々。
自殺も考えました。
家出も何度もしました。

家のお金を持ち出したり
ケンカも何度もしました。

とにかく荒れていましたが
中学3年になり、突然、叱られなくなりました。

私は、諦められたのだ、と思い
初めはそれでやりたい放題だと思いましたが
何となく、張り合いが無い、というのか
諦められた事へのプライドが許さないというのか
少しずつ、自分の中で色々考えるようになりました。

それでも、行動は改まらず、勉強もしませんが・・・

そんな中、
私の友人の一人が
「おまえ、このままじゃだめだよ」
と言ったとき、何か自分の中で感じたものがあったのです。

自分でもこのままじゃまずいよな、と
考えるようになっていたので
その一言が大きく私を動かしました。

そして、同じ時期に
家に帰ると机に1枚のメモが・・・
そこにはたった1行、
「あなたは自分がどれだけ悪いことをしているかまだ気付かないの?」

とだけ記されていました。
心当たりがたくさんあった私は大変驚きましたが
それよりも
ずっと、怒られなくなっていた母が
たった1枚メモを残す。

これが叱られるよりも強烈なインパクトになりました。
今思えば、その時、初めて
本当の意味で
「ああ、直さないといけないな」
と自覚をしたのだと思います。

その日から私は変わっていきました。
けれど
そこから立ち直るのは容易ではありませんでした。

何しろ、2年以上の空白があるのです。
勉強は全く分からない状態で
部活なども文化部でいるかいないか分からない状態。
運動して頑張る、なんてもっての他、
という私でしたから

正直、何をどうすれば良いのか
途方に暮れました。

とりあえず、
勉強を頑張ろうと思ったものの
全く理解できず、早々に挫折・・・

先生も点が取れないことを叱る事はあっても、
どうすれば良いかを教えてくれる事はありません
でした。

これは厳しいな、と思った私は

それなら、部活だと思い
その時期、友人同士で昼休みに
野球をしていたこともあったので
野球部に入ることに決めました。

担任の先生に話したら猛反対。
母親も反対。

中3から野球部に入るなどありえない、とのこと・・・

でも、野球部の監督の先生に直接お願いをして
入部してしまいました。

中学に入ってから初めての興味を
どうしても失いたく無かったのです。

その日から
私は部活一色の生活になりました。
もちろん、部活ではついていけません。
後輩にも勝てるはずもなく、足手まといであった
ことは間違いありません。

けれど、そんな私を
野球部の皆は支えてくれました。

そんな仲間に恵まれ、
中高一貫の学校でしたから、
高校3年の引退まで、部活を続けることができたのです。

お世辞にも上手になったとは言えないかも
知れませんが、遜色なく練習についていける
様になったのは、私にとって大きな収穫でした。

そして、自分に自信も取り戻せました。

野球に没頭している中で
技術を覚えていくこと、成長することが楽しく
興味を持つことへの感情を取り戻せました。

高校になったときも
何か一つ、自分が得意と言える科目を作ろう
と思うようになって
高校生になってから初めて学習する物理を
得意にすると決めました。

世間の情報にも
芸能、音楽は無知でしたが
新聞、ニュースなどをとにかく見るようになり
そこから知識を得る習慣が付き始めました。

部活も引退し
大学受験を考えるころ
私の成績は物理を除くと成績は壊滅的でしたが
何となく、自分は成長できる自身を持ち始めていました。

進路指導の先生には
大学に行きたいなら3年計画だな、と言われながらも・・・

そして私は
教室で居残りをし、
ひたすら勉強に打ち込む様になりました。
自分はできるようになる、と信じて
そして、部活の時のように
成長できる自分に希望を持って・・・

現役の受験では合格する事はありませんでしたが
浪人して初めての模試では
偏差値も64にまで上昇していました。

いける

そう感じて、
図書館で毎日勉強を続けました。

塾には一種のトラウマがありましたから
予備校へは通いませんでした。

それでも、
自分に合う問題集を見つけ
自分のペースで理解をし、
自分の頭で汗をかく日々は大きな力を与えてくれたと
思っています。

秋の模擬試験では偏差値も70を超えていました。

3年計画だな、と言った先生も
手のひらを返して、早稲田とか受けてみたらどうだ
と言っていました。

そうして、大学受験に合格

その頃には
自分で前に進む私に母も口出しをすることは
無くなっていました。

大学生活は充実していました。
過去の反動のように興味の塊になっていた私は
様々なことに首を突っ込み、吸収していきました。

それが現在につながっています。

思えば
中学受験は私にとって
プラスだったのかマイナスだったのか
それはどちらとも言えないと思います。

でも、決して無駄だったとは思いません。
ずいぶんと人生を遠回りした、と母には言われますが
そうではありません。

その体験があるから
現在、こうして塾講師として子供の気持ちが分かるのかも
知れませんし、同じような子供を作りたくないからこそ
私は塾講師である道を選んだのです。

今の自分があるのは
そうした経験があるからなのです。
無駄なことなど一つもありません。

過去に私はひどく母を恨みましたが
今は感謝しています。


突然、叱らなくなったのも、
中学3年のあのとき、メモを残したのも
全ては私に自覚をさせるための伏線だったのです。

私は母の手のひらの上で
上手く踊らされたかのように、自覚をし、
軌道修正して、立ち直っていったのです。

あれがなければ
もしかしたら、私は変わらなかったでしょう。

きっかけはどこに転がっているか分からないものですが、
無駄な経験など1つもない、ということは
間違いない、と思います。

そして
中学受験はどんな経緯であれ
それは子供に大きな経験を与えることだと思います。

けれど、方法を間違えれば
その子にとって人生を大きく遠回りさせてしまう事に
なるかも知れませんし、
才能を潰してしまう可能性だってあるのです。

できることなら
中学受験をさせるなら
自分の経験を反面教師として
燃え尽きてしまう様なことなく
子供の才能を伸ばす教育をしてあげたい
その一心で私は活動をしています。


しかしながら
今後は一講師としてだけでなく
教育そのものに一石を投じる仕事ができれば
と考えています。

現在の塾偏重の教育も健全であるとは言えません。
けれど、学力低下が叫ばれる中で
学校も塾も保護者も焦ってきている
そんな時代なのです。

すぐに全ての仕組みを変えるのは困難かも
知れないですが、
これだけ塾が盛んな日本が
世界で見ればなぜ、少しずつ順位を下げていっているのか

そんな現実も踏まえつつ
自分にできることを見据えて
学校教育コンサルタントとして
今できること、と精一杯やろうと思います。

中学受験で経験した様々な思いを胸に・・・
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プロフィール

moro(諸葛正弥)

  • Author:moro(諸葛正弥)
  • 自己紹介
    ・教育技術コンサルタント
     T's skill教育技術研究所代表
    ・NPO法人交流分析協会会員
     交流分析士
    ・日本教育工学会 会員
    ・建築家

    ■明治図書より
    進学塾講師が書いた日本初の教育図書
    「人気塾講師直伝!イラスト図解でわかるプロ教師力アップ術55」を出版
    現在、第7版
    ■毎日コミュニケーションズより
    「フィンランドメソッド実践ドリル」を出版
    現在、第5版
    ■メールマガジンも発行しています
     「せんせいのスキル」
    e-mail:
    長年の大手進学塾講師経験や研修担当経験を経て「T's skill教師塾」を設立し、塾講師出身の教員研修講師として活動。
    私立中高一貫校、教育委員会、専門学校など研修や講演、顧問などを通じ、学校教育改革を提案中。

    これまでの数々の講演・研修ではこれまでの研修と違う、こういう研修を早く受けたかった、と高い評価を頂いております。

    T's skill「教師塾」を開催
    授業技術の研修・講義など各地で実施
    各種教育セミナーも開催予定
    全国から数多くのお問い合わせを頂いております

    2008年メディア関連の履歴
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    ■新聞「日刊ゲンダイ」
    ■雑誌「東洋経済」(書評)
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